妄想





羽根空港から
リムジンバスで帰宅する道中の話…


旅の疲れから
うたた寝をしていた。

「コケコッコ~!!!!」

えっ?

けたたましい音に目が覚めた。

何?今の?

まさか
鶏がバスで鳴くわけがない。

夢か?

空耳かな?

携帯の着音かな?

それにしても大音量だな。。。


「コッコッコッ、コケコッコォ~!!!」

えええっ???

けたたまし過ぎる音に
完全に覚醒した。

マジ?

昼間の空いているバスに
独りで座っていた私は

途端に妄想が湧いてきて
恐ろしくなってきた。

頭のおかしくなった人が
鶏のような奇声を発しながら
突然
背後から襲ってくるのではないか?

生きた心地がしなくなってきた。

昨今の
無差別殺人のニュースが頭をよぎる。

恐る恐る…

背後を見たが
車内は静かなままだ。


固まっているのか?

ほどなく
バスは高速を降り

国道を走り続ける。

鶏の奇声は
あれ以来聞こえない。

耳はバス後方に向く。

気が気ではない。

鶏のような低い鳴き声が
バスのエンジン音に混じって
聞こえてくるような気がしてならない。

「コッコッ…」「グルグル…」「コッ…」

手に
ジトッと汗をかく。

幻聴か?

変人が口ずさんでいるのか?

通り魔に遭遇するって
ほんの少しの偶然が不運に繋がるんだよね。

「鶏人間、白昼堂々と乗客襲う」

新聞の見出しも沸いてくる。

ようやくバスが駅に着いた。

「コケッ!コッコッ!コケコッコッ!」

ギャー!まただっ!

おじさん二人が
それぞれに竹で編んだ
重そうな行李を持って
バスの後方から歩いて来た。

「コケコッ!コケコッコ!」

ガタガタ揺れる行李の中から
奇声が上がる。

ギョエッ!

「茂原に行きたいんだけどね」などと
バスの運転手に話しかけた。

人騒がせなっ!!!

鶏なんか担いで
バス乗るなぁ!



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プロフィール

鈴木直美

Author:鈴木直美
ピアニスト、指導者として活動中。
Suzuki Piano School主催。
VERY GENE ドレスショップオーナーを務める。

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