鈴木直美ピアノコラム

ピアニスト鈴木直美のピアノコラムです。音楽との素敵な出会いがありますように…

四季咲き

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この話しは以前にもしたかと思いますが…。今年に入ってから思うように練習出来ない苛立ちから、ふと蘇った記憶をもう一度たどりますね。【ピアノ・クォータリー】という雑誌がアメリカにありました。「ありました」←と過去形で言うのは、今は廃刊になっているからデス。クォータリーと銘打つからには年に四回、発行される期間誌だったんです。クラシック・ピアノに関して、中々興味深い記事が掲載されていて、イースタン・ミシガン州立大学の図書館に備えられた雑誌をチョロチョロ〜と目を通していました。ただそれだけなのに、いざ廃刊となれば「惜しいな〜」などと思ってみたりしましたね。まっ、物事ってそんなもんです…f^_^;。クラシック音楽愛好家の人口なんて少ない上に、更にピアノという楽器のみに限ってしまえば、マーケットは狭くなってしまうものね〜(-_-#)。多分、採算が合わないために廃刊となってしまった刊行誌だったのでしょうねm(_ _)m。ウィリアム・カペルというピアニストの名前を聞いたことがありますか?1922年生まれ、1953年に没したアメリカのピアニスト。当時「アメリカの星」と期待され精鋭だった彼は、19歳の時に国際コンクールで優秀し、それを機にニューヨーク・デビューを飾ります。オーストラリアでのコンサート・ツァーで大成功を収め、すわこれから世界に羽ばたこうかという矢先に、31歳の若さでサンフランシスコ郊外にて不慮の飛行機事故に遭い早世してしまった正に悲劇のピアニストです。若くて有望な上に超ハンサムなカペル。ビジュアル系の彼は人気者。当時にしては沢山の録音も残っています。ところがカペルの日記には「手が痛い。腕に痛みが走る。痛くて弾けない。」悩みを切々と綴っているんですね。その日記が【ピアノ・クォータリー】という前出の雑誌に掲載されていたんです。多分、腱鞘炎を患っていたのだと思います。それもヒドイ重症。カペルは、生前にその事実を公表できないでいたんです。演奏家としての資質を問われてしまうことは避けたかったに違いないですよね。葛藤の嵐。光と影。正面から当たる光が強ければ強い程、影は後ろへと長く、幾重にも錯綜して伸びる。もう一つの話し、ロサンジェルスで国際的ピアニスト、マリー・ペライヤのソロ・リサイタルがキャンセルされたことも思い出しました。新聞広告やらラジオで、その日の公演が突然キャンセルされたことは広報していたらしいのですが、それに気が付かずにコンサート会場に出掛けた私は、閑散としたコンサート会場に日取りを間違えてしまったかと思ったんです。ぼう〜っと明りの灯ったチケットブースには貼紙がしてあり、係の方が同じく来場してしまった男性客相手にキャンセルの旨を伝えているのを後ろで聞いていました。なんでも手の故障とか。それを聞いて「へぇ〜、あんな天才でも苦労するんだ」などと感じ入った記憶があります。アスリートではないけれど、身体が資本のこの仕事。どんな天才と呼ばれる人間も、限界のギリギリまで突き詰める。故障が障害になることに分かっているつもりではいても、実際に故障を自覚し始めると「焦り」や「あがき」を覚えるんですね。してみると「天才」と「天災」は背中合わせなのかも知れないです(>_<)。自ら望まなくとも、与えられたものは逃れようがないという点でね…。あっ、私の故障は彼らの「天才振り」に重ねたわけでも「天災にあった」わけでもなく⇒「罰が当たった」だけですから…(┳◇┳)。四季咲きピアニスト、つまり年間を通して時折咲く程度のピアニストです。日ごろのワガママな行いのツケってことね…(ノ△T)。とほほ。


  1. 2009/01/07(水) 18:58:26|
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